こんにちは、れとです。
2021年にアメリカで不妊治療を受け、翌年に日本で出産しました。治療の開始当時は、40歳前半です。
不妊治療は、いろいろ大変です。治療で日常的なことは一切ありません。わからないことだらけで、痛いし作業も大変で、成功するかどうかもわからない。
この記事では、「患者の1人として不妊治療の何がつらかったか、精神的に何を乗り越えなければならなかったか」を記載します。
「不妊治療してみようかな、治療は何がつらいの?」と思われている方への参考になればと思います。
それではご案内しますね。
肉体的な痛みがつらい
治療というと、やはり痛みを心配する方が多いのではないでしょうか。残念ながら、不妊治療には痛くつらい工程がいくつかあります。
一体どういったことがつらいのか、具体的に見ていきます。
卵管造影検査
不妊治療前に必ず受ける検査に、「卵管造影検査」があります。この検査は、私にとって治療の中で一番痛く、つらい工程でした。
卵管造影検査は、子宮内に液体を流し込み、卵管が通っているか確認する検査です。
子宮内に、膣内から入れた管を通じ液体を入れて検査します。私の場合、水が入って「冷やっとした」と思ったら、「生理の時のような気持ち悪さと痛み×5倍くらい」が襲ってきました。
つらさに耐えられず、思わず「オウッ!」と叫びのけぞりました…。周りにいたスタッフが4人でおさえ込む事態に。そのまま体を左右にゆるゆる揺らされ、左右の画像がとられます。この間が地獄。
今思い出してもつらいです…。とても気持ち悪い検査なんですよね。終わった後は腰がガクガクになります。人によると思いますが、卵管造影検査は避けられるなら避けたいものです…。
一方で、この検査は最初の難関ですが、これを乗り越えれば治療中にこれ以上痛いことは無いと思います。
注射・採血
不妊治療中は、体中が針の跡だらけ。次はどこに刺せるかな…という状態になります。注射、注射のオンパレードで、1日に1本以上射ちます。お尻の筋肉、お腹は針の跡にあざが広がり、あざとあざがくっついて皮膚が青黒くなります。
注射は、治療開始時から、妊娠中期まで続きます。ステージに合わせ、投与される薬剤の内容はかわります。具体的にどんな注射があるのか、具体例をみてみましょう。
プロゲステロン注射
プロゲステロン注射は筋肉注射で、なかなか痛いです。プロゲステロンは妊娠に必要なホルモンで、必要と判断されたら経口、注射、経腟のいずれかで摂取します。
私の場合、体を整える段から、妊娠中期まで、①経口、②経腟、③自己注射で投与しつづけました。(しかし、どうしても自分で注射できなかったので、夫に打ってもらいました。)
自己注射は、お尻の上の方の筋肉部分に打ちます。ちなみに、自己注射の場合、以下をするとかなり痛みが抑えられます。
(夫の父親が医師で、教えてもらいました。)
オイルが冷たいと、痛みの感覚が増すので、打つ前にオイルの瓶を手で握っておくとよいです。
排卵誘発剤やhCG製剤の投与
卵胞の発育をうながす、排卵しないようにするなど、体の機能を調整するための注射が打たれます。これらは、採卵前に一週間ほどお腹など脂肪がある部分に自己注射しました。
採血
通院のたび採血され、体の状態が確認されます。採血はどちらかの腕からです。
採卵
採卵ですが、私は幸運なことに、採卵の際は全身麻酔でした。
一方で、麻酔なしで行った友人によるとだとそれなりに痛いとのこと…。生理痛を注射でされるような痛みだそうです。
大量の薬の服用・投与がつらい
不妊治療では、体を妊娠に向けて整えることがとても大事です。体を整えるにあたっては、医師からの処方薬やサプリの毎日の摂取がかかせません。
薬の量は、体の状態により処方の要否が異なるので、個人によるところが大きいでしょう。
薬やサプリについて、もう少し具体的にみてみましょう。
処方される薬
体の状態によっては、多くの薬の処方を受ける場合があります。私の場合は、かなりの量の薬が処方されました。
薬は、プロゲステロンやエストロゲン、甲状腺のホルモンを整える薬、体の抵抗力を下げる薬(卵子の移植の際に拒否反応をおさえる)などです。
薬は、朝・昼・晩に、経口、経腟、注射とさまざまな方法で投与します。私は投薬を忘れないように薬の投与予定カレンダーを作成し、摂取時間にはアラームをかけていました。
経腟の薬は、自宅外での投与が難しい場合もあります。そのため、薬を投与できる場所にいられるよう予定の調整が必要かもしれません。
薬に予定を振り回されるので、薬とのつきあいに辟易する方もいると思います。ちなみに、毎日いろいろな種類の薬剤を投与しましたが、私の場合副作用は特にありませんでした。
葉酸サプリ
葉酸サプリは、なるべく早めにはじめることをおすすめします。赤ちゃんをはぐくむにあたり重要な栄養分で、妊娠前からの摂取がすすめられています。
私は、妊娠の数年前から葉酸を摂取していました。今でも授乳用の葉酸を毎日摂取しています。妊娠を考えている場合、葉酸の摂取は忘れずにしておきましょう。
予定の調整がつらい
不妊治療は、「時間の調整」が大変です。
働いている場合、「明後日、数時間だけ休みます」などと簡単には言えないですよね。不妊治療では、仕事先の予定をどう調整すべきかで頭を悩ませます。
具体的にどのようなことに時間の調整を要するのか、もう少しくわしくみてみましょう。
クリニックへの通院
不妊治療ができる専門クリニックは、そうたくさんありません。場合によっては、数時間かけて通院する必要があります。
私の場合、クリニックまでは車で往復6時間の道のりでした。そのため、毎日通院を要する週は、ホテルをとりました。
クリニックがそばにあればよいですが、そうでない場合、通院にかかる時間と労力は、けっこうな負担です。
治療自体に時間がかかる
不妊治療には時間がかかります。
「体の状態を妊娠にむけ整える工程」では、1週間に1日ほど、「採卵前」には連続して1週間ほど毎日通院します。
なぜ通院が必要かというと、毎回体の状態を採血、超音波検査などで確認するためです。
採血後、すべての数値が適正か、採卵できそうか、子宮の厚さが十分かなどが確認され、そのデータに基づいて必要な薬が処方されたり、予定が調整されます。
1サイクルごとに、最低でも1か月ほどはランダムにクリニックに行かなければならないと考えておいた方がよいでしょう。
このほか、必要な薬をクリニックで注射してもらうために、ほぼ毎日通院が必要になる場合もあります。
クリニックによっては、針や薬を処方してくれ、自分で自分に注射する「自己注射」をさせてくれるところもあります。注射はほぼ毎日なので、自己注射ができると通院の回数がかなり減ります。
とはいえ、自己注射ができても、最低限の回数は通院する必要があります。採卵前から卵を子宮に戻すまでの数週間は、病院から指定される日程でクリニックに行かざるをえません。
数日前に指定される時間に診察
治療に時間を優先せざるをえないと記載しましたが、この日程が数日前にしかわかりえないのも辛い点です。
「採血の結果や超音波検査の結果」により、何日後にクリニックに行けばよいか指定されるという具合で、数日前まで予定を立てることができません。
そのため、仕事をしている場合は、とつぜん翌日に数時間休暇を取得するなどの必要が生じます。時間の融通がきかない仕事をしている方には、この調整が精神的に大きな負担となります。
精神的な負担がつらい
不妊治療では、時間が経過するにつれ精神的なつらさが増していくことになります。
また、不妊治療をはじめた年齢が高いと、最初から時間制限の壁にさいなまれます。
どういうことか具体的にみていきましょう。
授かるかはやってみないとわからない
不妊の可能性を示唆された後、治療にのぞんでも「授かるかはやってみなければわからない」のが不妊治療です。
治療をしても、最後までうまくいかない可能性もあります。そのため、治療について周りに事情を話せず、仕事の時間の調整をしつつ治療にのぞむ方もいるでしょう。
「授かるか確約がない」中、事情を話せぬまま予定を調整し、毎日の痛みに耐え、治療のための作業を続けるのはつらいものです。
そして、着床しなかったときは、説明も難しいほどにつらさを感じます。
高齢でのステップアップ治療は精神的につらい
ステップアップ治療の場合、①基礎体温を測り、タイミング法を何回か試す⇒②人口受精⇒③対外受精と治療が少しずつ高度になります。
一方で、高齢で不妊治療をはじめると、「制限年齢に至るまでに授かれるかどうか」が一番の心配ごとです。結果、1つ1つのサイクルがとても貴重になります。
そのため、最初から一番可能性が高い③の対外受精の治療をはじめたいと思う方は多くいるでしょう。
しかし、ステップアップ治療の場合、①と②を経なければ③の治療を開始できない場合もあります。そして、①と②には半年以上の長い時間を要します。
これは「治療の年齢制限」および「年齢による体の機能の低下を心配する患者」にとって、大きな心の負担です。
費用がつらい
不妊治療で避けられない頭の痛い問題の1つに費用の問題があります。
何も確実でない中おこなうのが不妊治療であり、費用はかかったその都度請求されます。そして、いくら払えば絶対授かるという制限はなく、知らぬ間に金額が積みあがります。
おこなう国や地域、自治体により金額は大きく異なりますが、相当な金額になりえることもあり、金額的にあきらめなければならない治療が生じえます。また、願う結果が得られないことに費用を支払わなければならないこともあるでしょう。
不妊治療では、この費用も大きな負担です。
パートナーの支えは成功の1つの鍵
私の場合、治療中に何よりも心の支えになったのは、パートナーの存在でした。治療を最後まで行うことができたのはひとえに夫のおかげです。
夫は、治療中、一日も欠かさずに調剤、注射を行ってくれました。また治療がうまくいかなかった時は、涙が止まらない私の気が済むまで寄りそってくれたのを覚えています。
治療中、女性側は治療の当事者です。残念ながら、肉体的にも精神的にもつらさを感じやすいのは女性側で、多くのことは男性には共有できません。薬の影響でホルモンのバランスも頻繁に変わり、何かと精神的に不安定にもなります。
パートナーのちょっとした優しさが、治療に前向きに取り組む姿勢の支えになります。パートナーが不妊治療を受ける場合、感情を否定せず、共感を大切にしてあげてください。
2人の間で共有されるすべての問題は、他人事ではありません。どうしたら問題が解決できるか、一緒に考えましょう。
不妊治療はなぜつらい?パートナーと一緒に乗り越えた5つのこと:まとめ
不妊治療でつらいことをご紹介しました。
まとめると、以下の5つです。
不妊治療を受けるにあたり、多くの方が上記の問題と対峙することになります。
私は治療の結果、幸運なことに妊娠に至れました。いま、娘は雄たけびをあげながらハイハイしています。娘が生まれてから、毎日が愛おしいです。
不妊治療は、医療が進んだ今だから可能な技術です。高齢出産が増えた現在、不妊治療は妊娠を可能にするすばらしい治療法だといえます。
まだ早いかなと思う方でも、しばらく妊娠しないのであれば、早めに検査に行くことをおすすめします。不妊治療は本当に時間がかかるもので、ぎりぎりまで待つと焦ることになります。
この記事を読まれたすべての皆さんに、こうのとりが訪れますように…。
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