
「個人輸入」って、気軽にできそうだよね。Amazonとかって海外から発送されてるものもあるし、そういうところから購入するのと一緒でしょ?
海外にいると、日本から色々輸入しなくちゃいけないときがあるけど、どこの国でもそんなルールって変わらないよね?
「どこの国にいても輸入や関税のルールなど、そんなに違わないだろう」、と私は思っていました…(色々な国に住んでいたのに無知すぎます…。最近の2025年のアメリカ関税問題でようやくずいぶん輸出入の際のルールがこんなに変わるものだと気づきました)。
私は、過去アメリカ、ヨーロッパ地域をはじめ、様々な国に居住してきました。そして、時々それらの国に住むために日本から物を発送していましたが、「関税などが荷物に対して追加で発生する経験」をしたことがありませんでした。
(そういった国と日本との間には、それぞれすばらしい経済協定などの政府の取り組みがあったことに最近気づきました。)
ところが先日、日本からコスタリカに荷物を送ったところ——受け取り時に高い関税を請求され、思わず硬直し、そして冷や汗!
荷物を受け取る側で、関税の洗礼を受けたのはこれが初めて。とてつもないショックを受け、一体何が起きたのかを分析することにしました。
今回は、そんな「関税ショック」の実例をもとに、なぜ個人輸入で関税が高くなるのか?
そして できるだけ抑えるにはどうすればいいか? を、シンプルに解説してみようと思います。
ほぼ自分のためのメモですが、ご参考くださいm(_ _)m
個人輸入で関税が高く感じる理由を最初に押さえよう


せっかくお得に買えたと思ったのに。関税で超とられて大損…。
個人輸入をしたときに、こんな経験をしたことがある方は多いと思います。届いた荷物を受け取るときに追加で高額な請求がきて、ショックを受ける――そんな経験をする人は多いです。
実はその「高い」と感じる金額の中には、関税以外の費用がたくさん含まれます。
あなたが支払っているのは単なる「関税」ではなく、輸入全体にかかるさまざまなコストの合計です。
たとえばコスタリカの場合。
税関では商品価格だけでなく、送料(Freight)や保険(Insurance)を含めた金額=CIF価格を基準に税金が計算されます。
さらにそこに、付加価値税(IVA)や法定手数料(Ley 6946)、通関や入国の手続き費用などが上乗せされていく仕組み。
このように、「関税が高い」と感じる背景には、
- 課税対象が「商品代金だけではない」こと
- 関税のほかに複数の税・手数料があること
が関係しています。
実例で見る!コスタリカ発送の関税・手数料の明細

今回コスタリカに送った荷物では、商品代(FOB)135.80 USDに対して、最終的に約84ドル(₡42,188)もの税金・手数料が課されました。
つまり、「商品価格の約62%」にあたる追加コストです。

ちなみに送ったのは、日本の新品の衣類…。
友人にお願いしてFedExで送ってもらいました。
受け取る時は、FedExから連絡があり、「今あなたのお家の近くにいます、荷物渡すので出てきてください。」と言われ、外に取りに行きました。
コスタリカでは、置き配にすれば「確実に盗まれる風潮」なので、かならず配達員が届けに来ます。サインと関税支払いをクレカでその場ですると、品物が渡されます。
そして、FedExの方から「関税支払いよろしくお願いします」と見せられたのがこれ。

「2万円の商品に、USD84ドル(12,000円くらい)の追加支払い?」と固まりました…。
FOB/送料/保険を段階的に分解
区分 | 内容 | 金額(USD) | 日本円換算(@147円) | コスタリカコロン換算(@₡508/USD) |
---|---|---|---|---|
FOB | 商品本体の価格 | 135.80 | 約19,957円 | 約68,970₡ |
Freight | 送料 | 40.93 | 約6,015円 | 約20,800₡ |
Insurance | 保険料 | 2.53 | 約372円 | 約1,285₡ |
CIF合計 | 課税対象となる輸入価額 | 179.26 | 約26,344円 | 約91,055₡ |
この CIF(Cost + Insurance + Freight)が、「税金計算のベース」になります。
Ad Valorem/IVA/通関手数料の詳細
税・手数料区分 | 課税率 | 金額(₡) | 日本円換算(@₡1 = ¥0.17) | 説明 |
---|---|---|---|---|
Ad Valorem(関税) | 14% | ₡12,745.96 | 約2,160円 | 物品の種類によって異なる基本の関税 |
IVA(付加価値税) | 13% | ₡13,610.86 | 約2,310円 | 日本でいう消費税に近い税 |
Ley 6946(特別税) | – | ₡910.43 | 約155円 | 文化・社会事業への拠出金的な税 |
関税手数料等 合計 | – | ₡27,267.25 | 約4,625円 | 上記3税の合算 |
入国手続費用 | – | ₡13,204.88 | 約2,245円 | 郵便局・通関手数料など |
税金合計 | – | ₡42,188.76 | 約7,150円 | 合計84ドル相当 |
請求内容を整理するとこうなります↓
約2万円の商品を送った結果、合計約7,000円(84ドル)もの関税・税金・手数料がかかった。
内訳の大半は 関税(Ad Valorem)と付加価値税(IVA)。
送料や保険を含めた「CIF価格」が課税の基準になっていた。(コスタリカ税関のHSコードはこちら)
送料・保険を含めたCIFが関税を膨らませる仕組み

関税が高く感じる最大の理由は、課税のベースが「商品価格」だけでなく「送料+保険込みのCIF価格」になっているためです。
つまり「『送料』も税金の対象になる」─。

え…?送料に税金がかかるの?
根拠:課税のベースは「CIF価格」
個人輸入で課税される際のベースとなる金額は、単なる「商品代金(FOB)」ではなく、
CIF(Cost + Insurance + Freight)=商品+送料+保険 の合計です。
たとえば今回の例では:
- 商品価格(FOB):135.80 USD
- 送料(Freight):40.93 USD
- 保険(Insurance):2.53 USD
→ 合計CIF:179.26 USD
この 179.26ドル全体 に対して、関税(Ad Valorem 14%)や付加価値税(IVA 13%)が課されました。
たとえばコスタリカの場合:
- CIF価格(179.26 USD)を現地通貨(₡508/USD)に換算 → 約₡91,000
- その金額に対して
- 関税(Ad Valorem 14%)=₡12,746
- 付加価値税(IVA 13%)=₡13,611
- 特別税(Ley 6946)=₡910
→ 合計 約₡27,000(≒約4,600円) - さらに郵便局などの通関手数料 ₡13,200 が上乗せ
→ 結果、合計 ₡42,188(約84ドル)
送料を含めたCIF価格をもとに計算されるので、送料が高い(距離が遠い)ほど、関税額も雪だるま式に増えるというわけです。

商品代金だけに関税課されるのが普通じゃないの?
送料・保険料・梱包費まで含めた「総額」が課税対象です。
とくにEMSやDHLなどの国際配送は送料が高くなりやすく、結果として
「関税が思ったより高い」=「送料が高いから」
というケースが多いです。
実体験から得た教訓:個人輸入で失敗しないための心得


「ギフト」か「商用」かって選択するでしょ?ギフトで送れば課税されないのでは?
「ギフトだから関税が免除される」というのは誤解です。
多くの国では、贈り物であっても一定額を超えると課税対象になります。
ただし、送り方・申告方法・配送業者の選び方によって、負担を減らすことは可能です。
なぜ「ギフト」扱いでも関税がかかるのか
コスタリカをはじめ、多くの国では「ギフト(Regalo)」扱いでも次のような条件で課税が発生するようです:
- ギフトとしての申告はできるが、課税免除の上限額(=非課税枠)がある。
- その金額を超えると、自動的に関税・IVA(付加価値税)が発生。
- さらに、「商用配送」扱いになると、ギフトでも通常課税される。
「ギフト」は「免除の可能性があるカテゴリ」ではあるが、免税保証はありません。
安くするコツ①:送料を抑える配送方法でCIFを下げるコツ
課税はCIF(商品+送料+保険)の合計で決まるので、送料が高いと税金も上がります。
そのため、可能なら
- 軽量・小型の配送方法を選ぶ(例:SAL便・国際eパケットなど)
- 保険を最小限に抑える
- 複数品をまとめず、小分け発送する
といった工夫で関税のベース金額(CIF)を抑えられます。安い発送方法を選ぶのが一番重要です。

と言っても、コスタリカのような「ちょっと配送に心配がある国」では、FedExやDHLなどの信頼がおけそうなクーリエに頼まざるを得ないという事情もあります…。
(住所が「坂を登った自転車屋さんの前」とかで、住所が機能していません。)
安くするコツ②:非商用扱いを明確にする
申告時の内容(invoiceの書き方)も重要です。
- 「Gift(Personal Use)」と明記
- 受取人と送り主が明確に異なる(同名だと商用扱いになることも)
- 同一商品を複数送らない(転売目的とみなされるリスク)
この3点を守るだけでも、「商用輸入」と誤解されにくくなり、税率が軽減される可能性があるそうです。
(商用なのにギフトって言ったらダメです。)
まとめ|個人輸入の関税を理解して、賢く節約しよう
⚠️結論
まず、商品を配送する国の関税率がどの程度あるか、ネット上で情報を収集しましょう。
自分が受け取る立場ならば、海外から物を輸入する場合、関税がどの程度かかるか事前に把握するのが大事なポイントです。
国際的なプラットフォームである「Amazon」や「eBay」のサービスでも、海外から商品が発送される場合、関税が含まれていないことはよくあります。
セラーも発送先の各国の関税のことは把握してはいません。
関税は、「輸入者に対し在住国から課せられるもの」なので、「輸入者が把握する責任」があります。
購入の際に支払う金額の他に、後から関税請求が来る場合は多々あります。気をつけましょう⚠️
また、個人輸入では「送料」や「配送会社の選び方」が、関税の金額を大きく左右します。
とくにFedExやDHLなどのクーリエ便を使うと、スピードは速い代わりに課税が厳格&手数料も高くなる可能性があります。
今回のケースから見えた現実
私は今回、日本からコスタリカへギフトをFedExで送付しました。
中身は約2万円相当の小物でしたが、請求された税金と手数料は合計 ₡42,188(約84ドル)。
ちなみに、「自分宛」で送付したので、商用と思われたのかもしれません…。「ギフトで送付しているし、そんなにかからないでしょ」と思っていたのに、受け取り時に驚くほどの追加費用がかかりました。
学んだ教訓
個人輸入は「海外ショッピング」というより…。「ミニ通関事業」。
どの配送ルートを選び、どのように申告するかで、最終的な負担が大きく変わるので、情報を入力する際にも丁寧に項目を確認していく必要があります。
今回の経験から得た教訓は3つ:
- ギフトでも課税される可能性を前提に考える。
- FedExやDHLなどの速達クーリエには「便利税」が含まれると考える。
- 少額品は郵便経由、小型便を賢く使う。
というわけで、「海外で個人輸入をしてみたら、こんなことになった」というお話でした。
しかし、海外で生活していると、自分の国から必要になるものって何かしらあるものです。たまに送るんですよね、帰国のタイミングが合わないと…。そしてこんなことになってしまいました。
日本とコスタリカ間で関税免除になる経済協定が結ばれる日を心待ちにしております…。
関税にはお気をつけください。
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