MINISOって、ほかの国行くといっぱいあるけど、日本ぽいとこもあるよね。
日本から来たの?
日本にお店はあるの?
日本との関係はなに?
MINISOは、日本以外の国に行くと、よく目にする雑貨店です。各店に過去掲げられていたユニクロそっくりなデザインの「メイソウ」と記載された看板は、日本人なら目がいくこと間違いなし。
まれに商品に理解できない日本語が表記されていることもありました。どことなく日本ぽい雰囲気があるものの、通じない日本語なのでフェイク感満載。
こんなMINISOが、最近日本語の「メイソウ」と記載された看板を下ろし、英語表記の看板のみを掲げるようになりました。私の住むシドニーの「メイソウ」の看板も消えました。
MINISOに変化の兆しが見える今日この頃、いまさらながら気になったのでMINISOの今までを深堀りします。
この記事を読むと、以下がわかります。
✔ MINISO(メイソウ)の日本との関係
✔ MINISOのいままで
✔ MINISOを取り巻く現状と方向転換
それでは、さっそくご案内しますね。
MINISOは日本の会社ではない
MINISOは、日本の会社ではありません。中国の会社です。日本の外に行くと、「minisoって日本のお店だよね?」とか言われることがありますが、minisoは日本の会社ではありません。
2013年に広州で1号店を開店した当初は、日本においても「株式会社名創産業」が設立登記されています。しかし、運営は中国でなされています。
設立当初、MINISOのホームページ上では、設立者は三宅純也さんという日本の方とされていて、2015年まで日本法人の代表取締役とされていました。
一方で、三宅さん本人によると、実際の経営にはかかわっていない模様です。2023年現在、三宅氏は、MINISOホームページ上では、デザイナーチームの一員として紹介されています。
2023年MINISOの公式サイトでは、中国人の葉国富(Ye Guofu)氏が創設者として掲載されています。
MINISOは2014年から日本に出店⇒撤退済み
minisoの日本の店舗は、2021年12月末をもってすべて閉店し、今はありません。
日本には2014年から出店しました。合計9店舗を展開しています。
MINISOとは?
MINISOの正式名称は、株式会社名創優品産業です。
名創優品産業は、世界各国で雑貨の販売を行う事業を展開していて、”MINISO”というブランドで店舗を出しています。
ちなみに、2022年までは、「MINISO」と記載のあるロゴのとなりに「メイソウ」とカタカナで記載されたロゴの看板が掲げられていました。
2023年になり、カタカナ表記の看板が下ろされ、アルファベット表記「MINISO」の看板のみが残っています。筆者もシドニーの店舗で2023年にカタカナ表記がなくなったのを確認しています。
正しい名前は「名創」なので、カタカナの名前はあっているようですね。英語表記がMINISOなのが逆に謎です。そして、会社名と異なるこの英語表記が今後ずっと残っていくのも不思議です。
中国表記の名创优品(Míngchuàng)を安易にネット上の翻訳にかけた結果?という一説がありますが、どこにも”MINISO”の表記の起原は見つかりませんでした。
MINISOの驚きの海外展開と店舗点数
MINISOの設立は2013年9月です。広州で1号店を開店したあと、爆発的に店舗数を伸ばしています。
2021年12月時点では、80か国以上の国・地域で5千店舗以上を出店しています(引用:The guardian)。出店形態は、直営店およびフランチャイズ契約形式で、大半がフランチャイズです。
店舗は、世界中どこにでもある印象を受けます。私はいろいろな国、地域を転々としているのですが、ヨーロッパ、オーストラリア、中南米は、大規模なショッピングセンターに行けば1つは店舗が見つかるイメージです。
先日コスタリカに行きましたが、そこでも店舗を見かけました。店舗に空きのあるショッピングセンターさえあれば、どこの国でも出店しそうです。
実際、2017年には北朝鮮にも出店を試みています。しかし、国際連合安全保障理事会の決議に反するため、最終的には出店できませんでした。
MINISOの「日本っぽさを出す」過去の販売戦略
minisoは、2023年現在、世界中の国でようやく”copy cat(さるまね)”会社として認識されるようになりました。
“Copy cat”と言われるその理由は、minisoのマーケティング手法が「日本の製品に見せかけて中国産のものを販売していた」からです。
実際、2022年以前は、店舗のロゴはユニクロそっくり、売っているものはダイソーと無印良品を足して2で割ったものといった感じでした。値段は1ドル~10ドルくらいの安めの値段のもの。日本にありそうな生活雑貨販売店といった様相です。
「見せかけが日本の製品」は、当初中国郊外の低所得消費者をターゲットとして販売され、大きな成功をおさめました。
少し前までは、「100%日本品質・日本品牌(100%日本の品質、日本のブランド)」などのサインも店内に掲示されていました。
デザインから生産ライン、監督まで、ぜんぜん日本のものでは無いものも販売されていたのでウソを掲示していたことになります。
MINISOのおかしい日本語表記(2022年以前まで)
MINISOは、日本っぽさを出すために、製品のパッケージに日本語を表記していました。とはいえ、日本語っぽいだけで内容はめちゃくちゃ。
笑えないほどにひどい表記なんですが、なんともくすっと笑えるものもあって、当時は日本人のなかにはわざわざこの表記を見るのに店舗に行く人も。
「メイソウする日本語」と揶揄されたりもしました。
無印良品のような商品を安く売る謎の中国企業「名創優品(MINISO)」が成長中https://t.co/8vA2Rn7rZi
— Business Insider Japan (@BIJapan) August 15, 2018
→ちょっと変な日本語の商品も pic.twitter.com/GiFUDYC7ff
▲過去乳液だった何か。「できている」の「る」が日本で使われてない「ゐ(ウィ)」なのだけど、逆にどこから見つけてきたんだろうと感心。
暇だし鼻先がムズムズして仕方がないので、中国で買った偽物ダイソーの毛穴すっきりパックでも試してみますね。
— りんむう (@n0w0n15) August 21, 2022
貼ってる今でも皮膚ムズムズする。
貼る前からずっとムズムズする。
私よくムズムズしちゃうんだよね。
なんなんだろこれは…
ところでこのminisoの商品、変な日本語が多いんですよ見て pic.twitter.com/WAIn9VcnpJ
▲「鼻を徹底的に濡れている」にクスッと来る。
皮膚に自然なギラギラ光沢感 昼間使用限定 pic.twitter.com/fMV7a4bpRn
— 中国住み (@livein_china) April 26, 2014
▲弾性を伝えてくれる…。何の訳なのか気になる。
MINI SO(メイソウ)って変な日本語で溢れるお店を発見!!
— 恵梨香 (@nusue__) January 19, 2017
ダイソーとUNIQLOが合体した感じ。
日本にも変な英語で溢れてるのかなー?
重機のおもちゃを買いました♪ pic.twitter.com/jLvtVQxVyC
▲堂々としたJAPANの表記。DIY多機能の意味を知りたい…。
日本語はロボット翻訳したんだろうけど、少しほかの製品も見たくなる中毒性があります。しかし、今では、この変な日本さは消えてきていて、見かけなくなりました。
以下は、2014年に店舗で配布されていたパンレットだそうです。
▲「炊煙かよわく回る暖かい人」と「ブランドのッシュ」がなにを意味しようとしていたのか気になります。
すがすがしいほどに内容がめちゃくちゃなパンフレット。今となっては、MINISOにとっても黒歴史でしょうね。
作ったときは、こうした嘘が公になって問題になる可能性を考えることはなかったのかなと疑問です。
MINISO2022年の炎上
堂々ときな臭さを放っていたMINISOですが、2022年、とうとう炎上する騒ぎが発生しました。
発端は、MINISOのスペイン版インスタグラムアカウントの7月の投稿。ディズニープリンセスが中華服を着たこの商品を「JAPANESE GEISHA TOY(日本の芸者のおもちゃ)」と紹介したことが発端です。
「これは中華服だ」との中国人消費者のコメントをMINISO側がスルーしたことで、8月に中国のSNSで炎上。
スペイン版インスタグラムは謝罪を発表。
▲ミニソースペインは、7月25日、中華服をまとったディズニープリンセスのフィギュアを「日本の芸者」と誤表記してインスタグラムに掲載しました。フィードバックを受け、このポストは削除しました。誤解およびこの事由により生じた問題は将来に活かし、中国の方々およびミニソーのファンの方々に謝罪します。
ところが、騒ぎはここで収まりませんでした。
10年程前から中国国内では反日感情が高まっていますが、8月前後は、毎年中国国内でさらに反日感情が高まる時期です。
反日色の高まった中国では、MINISOのビジネスそのもののあり方に疑問が投げかけられる事態に発展しました。
中国共産等系メディアも騒動を取り上げ、「MINISOのロゴや商品が日本のユニクロや無印良品を連想させる」と批判します。
この騒動を受け、ミニソーの株価は37%下落しました。
結果、2022年8月、MINISOは日本っぽさを醸し出していた戦略を「重大な失策である」と謝罪し、「脱日本化」を宣言するに至りました。
MINISOは2023年方向転換中?
2022年の炎上騒ぎ後、MINISOは相当な方向転換をしているように見受けられます。
シドニーで見かける店舗では、見事に日本ぽさが消え、日本とは関係のない普通の雑貨屋さんという雰囲気になりました。
パッケージからも変な日本語が消えています。最近は、どこの店舗も、大量の大きなぬいぐるみが目立っています。そのかたわらに雑貨があるようなイメージです。
以前はサンリオの商品もたくさん見かけましたが、最近は見かけなくなりました。
オリジナルのキャラクターグッズが大半をしめ、たまにディズニーグッズが混じっています。いずれにしろ、「日本ぽさ」というのは圧倒的に消えてきています。
ブランドをパクる過去⇒文化をパクる世界の風潮と流行
ひと昔前まで、ブランドのパクリものが中国や韓国で販売されていることが大きな問題となっていました。
ところが、2000年前後から、フェイク文化はブランドを超え、「特定の国や文化へのなりすまし」に進化しました。
MINISOは店舗数がかなり多いので目立ちますが、パクっているのはMINISOだけじゃありません。なんならMINISOもパクられて、似たような店舗が出店されるありさまです。
パクリをパクっている店の一部を紹介します。
Daheso
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MUMUSO
MUMUSOは、店内がMINISOそっくりなんですが、パクっている文化が韓国。韓国の人々も迷惑がっています。
▲「MUMUSOは中国の会社だ!」と糾弾する韓国の番組。
Domesky
XiMi Value
YUBISO
シドニーの街中では、MUMU lifeとMINISOが近くにあり、あまりにも似ているので驚きました。
日本だとありえないと思えるのですが、ほかの国では「文化パクリ」は横行しています。一般の人はほかの国に詳しくないので、すっかり騙されてビジネスとして成り立っています。
「どこかの国のブランド」に見えても、実際中身が違うことはじゅうぶんあり得るので、消費者としても騙されないようにする必要がありますね。
それにしても、堂々と何かをパクるビジネスに、ここまで金銭を投資して大々的にビジネスをできるそのモラルの低さと度胸には感心すらします。
教育や社会のあり方、サバイバルしなければならない環境の違いなど、いろいろと背景は異なりますが、「これくらならやってもいいだろう」と判断するその基準、範囲の「日本の常識とのずれ」を感じずにいられません。
反日感情がベースにあるとはいえ、MINISOがとうとう中国国内でも糾弾されたところに、中国社会自身のパクリに対する意識の変化を感じます。
とはいえ、こうした「モラルに反することをしてもよい」と思える環境にいる人と「モラルを守る」社会にいる人では、「ここまでならやってもいいだろう」と思うことに大きな差が出るであろうことは間違いありません。
こうした「意識の差」は、文化間のコミュニケーションにおいて大きな障害になりえます。ネット社会・交通機関の発達にともない、世界中の国々のコミュニケーションが深化する中で、「こうした意識の差」が縮まればと思います。
MINISOのこの一連の騒動を見られている私たちは、「中国からパクリ文化が消えている歴史的な過程」を目撃しているといえます。
まとめ:MINISOは日本と関係ない会社。日本パクリ色を払拭して中国のブランドとして誇らしく飛躍してほしい
MINISOと日本の関係についてまとめました。
昨今はネット社会が発達し、SNSによって各国のコミュニケーションも速度を増すようになりました。コロナ下においては各国とのネット上での繋がりもさらに深化したように感じられます。
以前はかんたんに表面化しなかった「文化パクリ」や「技術パクリ」は今では容易にバレます。
ほかのパクリ会社のMUMUSOなどは、韓国政府から事業の取り締まりを受けているようです。パクられた国によっては、自分たちのイメージを崩されることのないよう国を超えて自衛する必要があるということでしょうか。
MINISOの歴史は、開業から2022年までの間「中国のパクリ文化とビジネスでのモラルの低さ」を世界中に知らしめ、自国内外から叱責を受けることになりました。
おかげで、「こうした文化パクリはしてはいけないことである」と、多くの人に認識される良い例となったともいえます。
最近は、変な日本語も消えて、ネット上ではMINISOの商品の質がよくなっているとのコメントもみかけます。
MINISOは、これから中国のブランドイメージ向上の旗星役として、世界中で飛躍できるといいですね。
今日はここまで。また次回♪